大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和50年(行ケ)8号 判決

一 原告の主張する請求原因第一、二、三項の事実は当事者間に争いがない。

二 そこで、原告主張の審決取消事由の有無について判断する。

(一) 本願発明が、進行しつつあるレーキで集々した牧草、その他を動力回転体で進行方向及び類似方向にまき取り及びまき上げる装置におけるレーキが現行畜力用ヘーレーキとほゞ等しいもの、すなわち、吊下げられ、かつ彎曲したレーキ爪をもつて構成され、集々レーキの各々のレーキ爪(爪先)が地面の凹凸にそつて可動をするが、他動による回転、往復及び類似の運動を主としないものであること、この装置を用いて牧草、その他を集々すると、集々される牧草等が右レーキを構成するレーキ爪の彎曲に沿つて上昇し、ついで、反転あるいはそのまま落下、拡散する傾向にあること、これに対し、第一引用例のものは、進行しつつある動力回転レーキで、集々した牧草その他をチエーンベルトによる回転移送により進行方向及び類似方向にまき取り、まき上げるようにした、いわゆるヘーローダであることはいずれも当事者間に争いがない。以上の事実によれば、本願発明は単に装置の構成上の差異にとどまらず、その作用効果においても、第一引用例のものに比して原告主張のように集々された牧草等のコンベヤによる移送を極めて容易にするという格別の効果を奏するものであると認めることができる。

(二) ところで、第二引用例についてであるが、成立に争いのない乙第二号証の一、二、三によれば、原告主張の事実が認められる。そうすると、第二引用例には、本願発明の装置における集々レーキに期待されているような、牧草の集々に際して集々する牧草等をレーキ爪の彎曲に沿つて上昇させ、ついで、反転あるいはそのまま落下、拡散させてコンベアによる移送を容易にするという技術思想は何ら開示されていないし、示唆もされていないと考えられる。

被告は、第二引用例記載のダンプレーキにおける集々レーキは本願発明の装置におけるレーキと構成を同じくするものであるから、第二引用例記載のダンプレーキを用いて牧草等を集々する場合、集々される牧草等がレーキ爪の彎曲に沿つて上昇し、ついて反転あるいはそのまま落下拡散する傾向があることは自明の理である旨主張する。しかしながら第二引用例のものは多数の彎曲した歯杆(レーキ爪)により牧草を単に集める目的のレーキにすぎないから、そのレーキで集められた牧草等がレーキ爪の彎曲に沿つて上昇し、反転あるいはそのまま落下する傾向があるとしても、それは単に現象として存在するだけであつて、その現象を積極的に利用する技術思想は何ら存在しないというべきである。被告の上記主張は採用できない。

三 よつて、本願発明が第一、第二の各引用例に基づいて当業者において容易に発明することができるとした審決には、原告主張の違法があるというべく、原告の本訴請求は正当であるからこれを認容する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!